”D2C”ブランドの台頭

いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。

アパレルや小売事業を運営されている方々ですと、近頃”D2C”という言葉を耳にする機会があるのではないか、と思います。

“D2C”はDirect to Consumerの略で、プロダクト(商品)を事業主が卸売事業者や小売事業者を通さずに直接消費者に販売する形で、自前で生産設備を持つメーカーが、あるいはブランドを持つ企業がOEM工場を使いながらビジネスを展開している事業モデルを指します。

これまでの多くの事業モデルは、商品を製造する“工場”流通を担い商品を小売店に幅広く展開する“卸売”、そして、その商品を消費者が触れて購入できる場所を提供する“小売”と、それぞれに役割に応じて商品をリレーして(繋いで)いく形が主流でした。

実はこの事業モデルが世界中で近年崩れつつあります。

実店舗を持ちながら”SPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)”という業態はアパレル産業を中心にここ20年ほど市場を席捲してきました。”SPA”は卸売の事業者を介さず、自社ブランドの商品を自社運営の直営店で販売する方式でした。

“D2C”は”SPA”から更に進んだ形で、自社店舗(直営店)すら持たず、EC(オンラインストア)を販売の軸として、実店舗を介さない事業モデルとして展開している形となります。実店舗でかかる費用が削減されるため、”SPA”の事業モデル以上に、中間マージンを排した効率的な事業モデルとなります。

一般的に”D2C”の事業は
(1) コンセプトやメッセージ性の高いブランド
(2) ウェブ媒体やSNSなどをネットの活用を軸としたマーケティング
(3) 生産/製造を握りながら消費者に直接販売
(4) ネット系ベンチャー企業と同じスピード経営
という強みを持ちながら、”明確な顧客ターゲット”に対して、“ブランド価値”を構築し、“価格競争力”で市場シェアを獲得していくという方向性を追い求めています。



最初に我々の会社が注目したブランドは実は米国ではなく、2010年前後から人気となった”VANCL”というアパレルブランドです。この会社は2007年に設立され、独自に進化したSPA派生ブランドとして、徐々に話題になり始めました。当時、ユニクロが中国で実店舗の店舗数を増やし、オンラインからの売上も含め、飛躍的に売上を伸ばしていたのですが、“VANCL”は中国ブランドの中では安定した品質ながら、実店舗は持たない事業構造であるため、EC専業でかなり安い価格で市場に商品を展開していました。

当時の中国はアリババが運営する“淘宝”を中心に、未整備な物流拠点や不安定な商品品質が課題でネット上での取引のトラブルや問題点が多く出ていたネット販売が成長過程の時代ですが、そんなときから”VANCL”は先進的な取り組みをチャレンジしていたともいえます。

そこから10年以上経過し、現在の中国市場においては、アパレル業界だけでなく、食品から美容に至るまで様々な“D2Cブランド”が中国の新興企業を中心に市場を席巻しています。
美容カテゴリーで代表的なD2Cブランド”完美日記“は中国で普及している”RED(小紅書)”というインスタグラムのようなアプリの活用で話題となり、SNSを中心にユーザーを自社で管理するコミュニティに巻き込みながら、新商品や商品開発に反映させ、コミュニティをレバレッジしながら商品販売にも繋げています。



一方、本家”D2C”の語源の発祥の地である米国でも、度々代表的なブランドとして取り上げられる、”Warby Parker(メガネ)”や”Away(スーツケース)”、”Glossier(コスメ)”、”Casper(寝具)”などが有名ですが、日本にも既に上陸しているブランドとして、”allbirds”というD2Cモデルのシューズブランドがあります。

既存D2Cブランドと異なる特徴の一つ目は、「サステイナブル」に比重を置いた商品開発~ブランド展開をしており、ユーカリの木やサトウキビから組成した素材や石油の代替として天然のヒマシ油を使用したソールを開発するなど、徹底的に環境に配慮した商品作りを志向しており、単なる“ブランドの置き換え”でない、独自のライフスタイルを訴求しています。

更に特徴の二つ目はショールームとしての機能を持つ実店舗の役割を重要視しているポイントです。ニューヨークを筆頭に全米主要都市に顧客の体験価値に重きを置く実店舗を構え(購入も可能)、ブランドの持つ世界観や環境に配慮している製品作りのコンセプトなど、ブランド価値を体験できるようなディスプレイが展開されています。

日本では原宿(JR原宿駅前)に一号店を出店し、同時にオンラインストアも立ち上げ、まだまだ認知度は高くないモノの、日本市場でも販売を既に開始しています。



米国や中国に対して遅れを取っている日本市場においても、今後、卸売や実店舗を有する小売店を通さないビジネスが続々と出てくると思われます。
商品自体に大きな差別化要素はなくても、「ブランドを作る力」や「オンラインでのマーケティング力」があれば、“価格優位性”を武器に、十分に市場シェアを獲得できる時代が目の前に来ていると思われます。

我々nuloを支える関係会社には、アパレルや雑貨など国内や海外での製造にも長け、物流拠点も運営し、実店舗/ショールームの開設や運営、ブランド育成や構築においても、豊富な経験を持っているメンバーが揃っております。

「我が社でもD2Cのブランドを~」とご検討の会社様は是非ご一報ご相談ください。

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