カスタマーオリエンテッド

いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。

nuloでのIT事業と並行して、スポーツマーケティングの事業も運営していることもあり、スポーツで活用されているIT技術に関しても、Jリーグなどのプロスポーツクラブや地域に根差したクラブ組織からご相談を受けることが近年増えております。

ファンやサポーターなど一定母数の会員組織を抱える企業や組織は、何とか顧客との距離を縮め、事業全体から生み出す“顧客価値”を高めたいと、様々なサービスや売上創出機会を求めています。

実は当社の姉妹会社においても、クラブチームが独自運営できる“チームアプリ”や“投げ銭アプリ”など、10年前から様々な試行を繰り返してきました。2019年も、近年のスポーツ産業の盛り上がりに乗じて、ブロックチェーン技術を活用した“投げ銭アプリ”やオリンピックで活躍が期待できるアスリートを応援できる“アスリート支援アプリ”など、スポーツとは縁のない複数のIT系企業から新しいサービスがリリースされました。


*アプリのイメージ(実物ではございません)


しかしながら、スポーツのファンに向けたアプリやサービスにおいて、現在まで確固たるユーザーベースを確保してサービス事業として成功した事例がないのが実態です。

2020年の東京オリンピックを控え、スポーツを絡めたIT系のサービスが企画/開発され提供されることが増えてきましたが、その何れもが、“Customer Oriented(顧客本位)“ではなく、”Supplier Oriented”になっていることに違和感を感じてなりません。

“ブロックチェーン”や“IoT”、“投げ銭”などのホットな”ワード”はあくまで技術屋やメディアなどの媒体、あるいはベンチャーキャピタルなど投資に関わる面々がその時代の時流に則った“キーワード”として使っているだけであって、実際の利用者に感じれる“実態のある目に見える利点”がないと、なかなか浸透していかないのが現実です。

☆「スポーツがなんだか盛り上がっている」
 ➔「ファンも沢山いる」
  ➔「IT技術で何かしらサービス提供したら沢山使ってくれるはず」
というのは非常に危ない”Supplier Oriented”なロジックで、早晩“サービス停止”に追い込まれる最も典型的な事例だと思います。



似たような事例でのサービス展開の失敗例が、(音楽)レコード会社が独自に展開する音楽配信サービスやテレビ局各社が個別に提供していた映像配信サービスです。

私がソニーに在籍していた当時も、アメリカや日本でちょうど音楽配信事業が立ち上がりつつある時で、各社各様にサービス展開をし始めていました。ただ、音楽業界は自社コンテンツを違法コピーから守るための著作権管理の仕組みや自社で提供している楽曲を配信したいがために、サービス自体が過剰に縦割りな仕組みとなってしまったのが実態で、利用者に全く相手にされないようなサービスも多々提供されていました。

“Supplier Oriented”で考えると、「自社コンテンツを売りたい」「コンテンツをしっかり(違法コピーから)守りたい」というところにどうしても主眼が置かれがちですが、”Customer Oriented”の視点で考えると、
「安く幅広く簡単に音楽が聴きたい」
の一言に尽き、「どのレコード会社なのか?」「DRM(著作権管理システム)が何なのか?」ということは重要でない要素ということが言えます。



自社内で企画をしていくと、どうしても自社に優位なサービスでビジネスモデルやサービスの仕様を構築しがちです。GAFAのように対象顧客に対して圧倒的な優位性を持って市場をリードできるパワーがあればいいのですが、通常の事業者の場合、実際にはその優位性を持っていないのが現状です(“持っている”と錯覚している事業者も多いのですが・・・汗)。

“Customer Oriented”の視点に立ち返るためには、愚直にエンドユーザーの目線に立って・・・
(1)現場に赴く~
(2)ユーザー(対象顧客)と同じ環境を想起してみる~
(3)本当に便利か、本当に必要か、本当にお金を払うか、再考する~
という当たり前の行動が必要となってきます。

特に「(1)現場に赴く~」というのはとても重要で、農業や工場の現場で使うIoTのサービスや先に記したスポーツ関係のアプリなど、現場の利用者や使う人の行動パターンや作業のルーチンをきちんと理解する必要があります。しかしながら、現場を軽視して企画してしまいサービス提供している事業者も多いのが実態で、「あ~現場知らないなぁ…」と思ってしまう案件も実は多々あります。

動画配信のサービスが始まりつつあるとき、ファイルの圧縮技術やインターネットの帯域が今ほど進化していなかったので、
「映画一本ダウンロードするのに2時間も3時間もかかる」
なんてことが当たり前でした。この状態では利用者は増えないのは当たり前ですが、”Supplier Oriented”の呪縛から逃れられてないと、意外と身勝手に夢物語を描いていることもあります(これは自分の過去の自己反省も含めてですが)。

「(2)ユーザー(対象顧客)と同じ環境…」というのはとても大事なことで、(3)の点も含めて、
 「自分がお客さんだったら本当に使うかな?」
といった当たり前の疑問に立ち返ることはとても重要です。

もちろん、市場やサービスを取り巻く環境(ハード面/ソフト面/インフラ面など)は刻々と変化するので、“今はダメでも3年後には”という視点で考えることは出来るのですが、その“市場での受け入れ状態が整っているのか?”という点を考慮しながら、広告予算やマーケティング活動を市場環境の実態の需要に即して、仕掛けていくことがMUSTとなってきます。

皆様の会社においても、「”Supplier Oriented”のサービスや企画がないか?」疑いの目を持って、今一度“顧客本位”すなわち”Customer Oriented”の視点で再チェックしてみてはいかがでしょうか?

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