“IT以外”の大切なこと

いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。

業務改善を目的とした社内システムを再構築したり、事業自体の再構築を目的とした新規のオンライン事業を展開するなど、“IT”技術を活用した業務が益々増えてきていると思います。

特に、去年から今年にかけて、新型コロナウィルス感染症の影響で、普段通っているオフィスに通勤する機会が減ったり、リモートワーク前提の働き方になって業務進行がチャットツールを使った形式に変化したり、これまでface-2-faceで行われていた会議がZOOMやTeamsなどテレビ会議前提になったり、これまで以上に、“IT”技術が身近になってきているのではないでしょうか。



実は日本の企業は欧米中を中心とした海外企業と比べ、“IT”の分野を効果的に社内に取り込むのはとても苦手です。

レポートや報告書のプロセスや承認、決裁のエスカレーションなど昭和の時代から残るピラミッド型の“組織構造”、昔から企業間取引や社内決裁上に存在するデジタル化に馴染みにくい“ハンコ”文化、熟練世代に残る「対面(会って話をする)」を重視する“現場主義”など、“IT”技術をフルに活用した次世代のステージに進んでいくためのハードルは、海外企業と比べると高いと言わざるを得ません。

西海岸と東海岸で4,000キロも離れていて東西の時差が3時間あるアメリカでは、ブロードバンドが普及する以前から、電話会議(非対面)で打ち合わせを行うことも多かったですし、中国では効率性や利便性を重視する国民性が元来備わっているので、メッセンジャーやチャットなど最新のITツールを使って業務を進めることが日本以上に多いような気がします。

最新の“IT”技術を駆使した本格的な「DX化」を進める際にも、日本の独特な商慣習や社内文化は大きな障害となります。

日本では「商慣習や社内プロセスに合わせたシステムを構築する」という志向になりがちで、「システムに商慣習や社内プロセスを合わせる」という発想が少ないのが現実です。

余計なプロセスや本質的に不必要なステップを無理やりシステムに組み込むことにより、(1)システム開発費用の増加、(2)開発期間の長期化、(3)非効率なプロセスの継承、が現場で発生していることもしばしば見受けられます。

特に、(2)開発期間の長期化は、金融系のシステムや自治体系のシステムにおいては今も残っている深刻な課題で、これらが日本のITインフラが常に世界のIT先進国に比べ遅れている原因にもなっていると、個人的に感じております。

IMD(世界経営開発研究所)が毎年調査している「世界デジタル競争力ランキング(2020)」においても、日本は27位と大きく出遅れ、保守的でIT先進国のイメージのないドイツやフランス以上に“デジタル後進国”としてのレッテルを世界から貼られているのが、悲しい現実です。

本来、“DX”や“IT化”に乗じて業務プロセス自体を変革して、デジタル化していく副次効果を求めるべきところが、旧態依然とした“仕組み”や“プロセス”に固執し、余計な開発工数を増やし、無駄を削減するどころか、更にアナログなプロセスやイレギュラーな業務を増やしてしまっているケースも、実は多くの大企業で見受けられます。

企業内の“IT化”において、重要なのは、
(1)中期的観点で”デジタル“に置き換えてメリットが出る部分は徹底的に推進
(2)責任あるポジションの人材が組織改革も含めトップダウンで効率化を決断
(3)既存プロセスの見直しを妥協せず「システムに業務を合わせる(変える)」
という点だと思います。

商品やサービスの開発スピードが変化の激しい市場から求められる中、旧態依然とした仕組みやプロセスは弊害を生みだし、企業の成長力を奪います。ITやシステムだけでなく、業務プロセス自体を柔軟に変えていけるスピードも、今後成長する企業には求められてくると思われます。

今話題になっている“DX”や“D2C”を進めていく上においても、簡素化され極限まで効率化された業務プロセスは企業の競争力の”命綱“となってきています。


“IT化”というと、お抱えのITベンダに丸投げして、提案されたソリューションの検証も不十分なまま、ガチガチのシステムを作ってしまうこともよくある問題です。プラットフォームを提供する日系のシステム会社では、開発受託の金額を膨らませるために本来の目的から逸脱し、冗長性の高い、屋上屋を重ねたシステムを提案することもあると聞きます。

社内の経験ある“IT要員”を強化しつつ、「自社で判断する目」を養うことも並行して重要なポイントです。

“IT化”や“DX”という言葉だけ追いかけていると、どうしても「何かやらなきゃ」ということで、本質的な意図を理解せずに、プロジェクトを企画し進行しがちですが、今一度冷静な観点に立ち返って、
「競争力を維持するためにどういうプロセスであればいいのか?」
「そもそも既存の業務プロセスの過程で無駄なことをしていないか?」
「自分たちの競争力の源泉は何なのか?」
「“IT化”や“DX”のプロジェクトで本質的に何を成し遂げないのか?」
という点を改めて問いながら、実行プランを練る必要があります。
皆様の会社においても、“IT以外”の部分に目を向けて、どの部分にフォーカスして深堀りしていくのか、業務プロセス全体を俯瞰しながら、本質的な議論をしてみてはいかがでしょうか。

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