EC事業の勘違い

いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。

1990年代からインターネットビジネスに関わり、大企業に属していた時から現在まで数々のEC事業の立ち上げを行って参りました。
もう間もなく2020年を迎えようとしていますが、未だにEC事業を勘違いされている実務担当者や経営者がいる状況に少し残念に思うことがあります。

取り扱っている商品やサービスにより、その捉え方は多種多様だと思いますが、一般的なタンジブル(目に見える)な商品の場合、EC事業(オンライン販売)は常に「固定費も少なく何もしなくても売上が勝手に上がるもの」と誤解されがちです。

実はそんなことはありません。
(このコラムを読んでいただいている皆様はご存知でご経験済みだと思いますが・・・汗)



ECサイトを立ち上げたり、プラットフォーム上で店舗を開店したりするのは、基本設計をきっちりして、開発サイドがある程度その経験あれば、さほど難しいことではありません。

どちらかというと、そのECサイトや販売サイトを運営する会社や組織自体をこれまでの会社の体制と異なり変えていくことの方が時間を要し、費用対効果を出すまでに時間を要します。

EC事業を新規で立ち上げた場合、一般的には・・・
(1)サイトの企画/運営
(2)受注/顧客対応
(3)在庫管理/出荷
これらの業務を運営できる既存人的リソースの増強および追加が必要となってきます。

経営者や運営責任者にはこれらを増強および追加投入する準備と覚悟が必要となります。「既存リソースで何とかしてよ」「既存業務を効率化して、ECの仕事も担当してよ」と口で言いっ放しになって、現場に任せっきりになる体制だと、売上もあがりませんし、逆に機会ロスの方が大きくなります。

“(1)サイトの企画/運営”には、(a)商品撮影(b)価格/商品スペックなど商品データの作成などがまず必要となり、実際にシステム上に(c)商品をアップロードし、その商品をページ上できちんと“売れる形”にするべく、(d)販促用ページやLP(ランディングページ)の作成、あるいは(e)メルマガなどで既存顧客にリーチし、売上に繋がる準備をする必要があります。
商品撮影なども業務としては侮れません。これまで商品パンフレットなどで商品を撮影する経験はあったと思いますが、ECサイト向けには、ほぼ全商品で複数以上のカット、あるいは商品の細かい部分を補足説明するための特別に手配した写真素材など、より多くのものが求められます。この写真/映像素材の品質がオンライン販売の売上を大きく左右することも多いです。



“(2)受注/顧客対応”には、(a)受注対応や(b)顧客対応から始まり、(c)アフター対応、実際に売り上げが発生した時点での(d)売上処理、などの業務が必要となってきます。これまでメーカーとしての機能だけを社内に持っていた会社は、B2B向けの業務は既に存在していると思いますが、B2C向けに新たに業務を組み立てる必要があります。他社との差別化やリピート販売の増加を図るために、「サンキューレター」やフォローアップの業務が求められてきます。

“(3)在庫管理/出荷”では、在庫場所からの(a)出荷処理、および、それに付随する(b)社内報告業務、などが求められてきます。一般的な会社の場合、物流や在庫管理を統括するシステムを保有/運営していると思いますが、そのシステムとECサイトを管理するシステムが自動で連動しているケースも多くないと思います。そういった場合、担当者は「こちらのシステムでこの処理をして、あちらのシステムでその処理をして・・・」など、管理を円滑にするべく、追加で対応する業務が増えることとなります。

これら上記の業務を決して蔑ろにせず、会社の今後の成長を支えるビジネスとして、商品企画やシステム開発など見えやすい業務だけでなく、バックエンドの目立たない業務を支える人的リソース面にもきちんと目を配る必要があります。

EC事業(オンライン販売)で売上を上げていくには、まずは実務の“基本動作”がそれぞれの業務内容の中で正しく行われているか、という部分にフォーカスを当てるべきで、「広告費を打てばいい」「カッコいいバナーを乗せればいい」といったものではなく、
「(一つ一つの)商品写真が綺麗に分かりやすく取れているか」
「その写真が正しくタイムリーにアップされているか」
「商品詳細の情報がきちんと細かく分かりやすく記載されているか」
「在庫切れの商品がいつまでも放置されてないか」
など、地味な実務のクオリティやコツコツ進める遂行能力が意外と重要な要素となっています。



正しいリソースの投下と事前の(EC事業の)事業計画を立て、しっかりとルーチンの業務が遂行できる体制作りが肝要です。地道にコツコツ出来る人員を配置し、毎日一定以上のクオリティで各業務を淡々と遂行できるようになることが、売上を継続的に上げていくための第一歩です。

皆様の会社においても、自社のEC事業において、“作りっ放し(放置状態)”または“立ち上げて満足感を得て終っている(実質的に未着手)”状況になってないか再点検し、今一度、最適なリソース配分が出来ているか、個々の業務がきちんと遂行できているかどうか、点検してみてはいかがでしょうか?

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