ニューリテール

いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。

先日、中国の上海に出張に行く機会がありました。目的は現地法人で運営する中国大陸向けビジネスに関してでしたが、久しぶりに市場調査も兼ねて、中国の小売市場の状況を見てきました。

2016年まで6年ほど上海に住んでいたこともあり、上海万博(2008年)以降の中国小売市場の目覚ましい発展を目の前で見てきました。
(名目)GDPも日本をあっという間に追い抜き、現在は日本の3倍の規模になろうかという勢い、特に上海や深セン、北京など一線(一級)都市など大都会を抱える地域ではその変化は顕著で、商品の趣向も10年前と比べるとかなり変化があるのが実勢です。

nuloがサービスを提供する会社様の商品が中国大陸でもビジネスを展開していることもあり、現地の百貨店との商談やキャラクター商品のリアル店舗の視察も行ってきました。

1.リアルチャネルの弱体化
上海の大型商業施設および大手百貨店も年々その集客とテナント集めに苦労している様子で、「商品を仕入れて並べるだけ」あるいは「場所貸しして家賃収入得るだけ」の商業施設は成り立たなくなってきているのが現状となってきています。
中国市場全体は成長を続けているものの、百貨店業界の売上規模自体は、実は減少傾向が続くようになっており、上場している百貨店で売上減少した企業は54社中28社と半数以上の百貨店が前年割れの売上を記録しています(2018年実績ベース)。中でもその減少率が大きな問題となっていて、そのうち10社が前年対比20%減という厳しい状況に直面しています。
実際、上海の街を歩いていても、大勢の来店客で賑わっているのはごくわずかな商業施設の食品エリアや美容/化粧品フロアだけで、多くの百貨店の集客状況は日本の苦戦している地方百貨店と同じくらい、集客に苦しんでいる現状を見て取ることができます。


*閉店した中山公園の老舗百貨店“巴黎春天“


2.キャッシュレスな生活
上海に出張する度に感じるのが、キャッシュレスが隅々まで浸透したライフスタイル。世界的にも最先端を行く中国のキャッシュレスの浸透度合いは色んな意味で可能性を感じます。
まず上海に到着して直面するのが交通カード(日本でいうとフェリカ[Suicaなど])。以前であれば、チャージする際に現金でチャージ(充値)する機械が各駅に配置されていたのですが、現在はスマホアプリで改札を通過する人が増えたこともあり、現在は機械で現金でのチャージが出来ない仕様になっていて、モバイル決済でチャージする形になっています。ですので、現金しか持ち合わせてない旅行者にはとても不便な環境となっています。勿論、現金でも切符を買うことも出来るのですが、生活に直結する交通システム全体のフローも、“キャッシュレス”の方向へ急速に進んでいることを改めて感じます。
今後はスーパーやコンビニ、公共施設なども含めて、現金の流通量が徐々に減少し、政府や経済界全体で“キャッシュレスな世ゆきへの後押しが進んでいき、それに付随した付加価値サービスやアプリなど新しい仕掛けが試行錯誤され、定着されていくものと思われます。


*上海公共交通カード(SONYのFelicaでなくPhillipsのMIFARE)


3.ニューリテイルの連続する試行錯誤
当社の関係会社の上海オフィスから地下鉄で二駅の場所にある「盒馬鮮生」に行ってきました。このスーパーはアリババグループが運営する生鮮スーパーで日本で言うと“ライフ”や“マルエツ”のような業態になります。
ただ、その業態は完全に既存スーパーとは異なります。専用アプリを持つ方々のみを対象とした会員制スーパーで、ここのスーパーでは全く現金を使うことはなく、決済は全てスマホ上のアプリを経由した支付宝(アリペイ)で行われます。


*上海中心部にある盒馬鮮生(フーマー)の入口


来店するお客様は買い物かごを持つのではなく、スマホを片手に、気に入った商品を「ピッ」とバーコードスキャンしてアプリ内のカートに商品を入れ、デリバリーしてほしい時間を指定して、スマホ上で決済する仕組みになっています。


*清潔感のあるスーパー内の生け簀


並行して店舗に入り驚いたのが各売り場の清潔感です。以前上海に住んでいた5~6年前のカルフールなどの庶民的なスーパーの売り場は、食品売り場や海産物売り場も清潔感がなく、外国人が買いにくい売場がほとんどだったのですが、このアリババが運営するスーパーの売り場は清潔感もあり、商品の陳列もしっかりしていて、オンラインやアプリの先進的なソリューションだけでなく、売り場全体のレベルが格段に上がっていることを感じました。

日本の市場全体の小売総額(百貨店や小売店舗などオフライン)に対するオンライン経由の販売(俗称:EC化率)はせいぜい8%に満たない程度ですが、中国市場のEC化率は20%を超え、その差は益々離れていく傾向です。

皆様の会社においても、中国市場への進出を考えておられる事業もあると思いますが、今一度、決済やオンラインでの事業展開に関しては『中国の方が先進国』という認識に立って、組み立てるマーケティングやセールスの戦略が正しいのかどうか、一度上海など現地での購買パターンを分析して、再考してみてもいいかもしれません。

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