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2022-06-22 EC制作
法改正でECサイトは何が変わった?
2022年6月1日から特定商取引法(特商法)が改正されました。 この改正は販売する事業者、購入する消費者、両方に大きく関係します。 一体どう関係してくるのか、簡単に解説していきます。 そもそも。 ・特定商取引法(特商法)とはどういう法律? 一言でいえば、消費者を守るための法律です。 特定の販売方法を採用している事業者による違法・悪質な勧誘行為などを防止し、消費者が不利益を被らないようにしています。 対象になるのは「訪問販売」「電話勧誘販売」「連鎖販売取引」「特定継続的役務提供」「業務提供誘引販売取引」「訪問購入」、そして「通信販売」による事業です。 ネット内に店舗を構えるECサイトはこの「通信販売」に該当します。 ・規制の内容は? 通信販売を行う事業者は以下の内容を厳守しなければなりません。 1.広告の表示 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号など所在を明確にするための表記が必要です。 ECサイトは「特定商取引法に基づく表記」という専用のページを設けて記載しています。 2.誇大広告等の禁止 事実とは異なるのに、あたかもそうであると誤解させるような表記はしてはいけません。 効果や効能を謳うものには検証結果などの資料が必要です。 3.未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止 メール広告を配信したい場合は、必ず消費者一人ひとりに許可を取らなければいけません。 4.特定申込みを受ける際の表示 申し込みを受けるにあたって、申し込み内容を一覧で確認できる表示が必要です。 5.前払式通信販売の承諾等の通知 商品の引き渡し前に、顧客から代金の全部、または一部の支払いを受けるとき、承諾等の通知(原則書面)を行わなければいけません。 6.契約解除に伴う債務不履行の禁止 売買契約の申し込みを撤回した場合など、事業者は代金返還等の債務の履行を拒否したり遅延したりしてはいけません。 7.顧客の意に反して申込みをさせようとする行為の禁止 詐欺的な手段や広報などで、顧客の意図しない申し込みへと誘導してはいけません。 ・法改正でなにが変わった? ECサイトにおいて、取引の最終確認画面で指定された必須項目を表示することが義務づけられました。その項目とは「商品の分量」「価格・対価」「支払時期・支払方法」「引き渡しの時期」「申込期間の定め(あるときだけ)」「返品や解約」の6つの項目です。 ・特定商取引法(特商法)の改正があった理由 上記のような法改正に至った背景としては、やはり新型コロナウィルスの感染拡大によるECサイトの普及が考えられます。実店舗に出向かずとも、自宅で取引が完了するのはとても便利ですし、今後もECサイトでの買い物はごく当たり前になっていくでしょう。 手軽に買い物ができるECサイトですが、最大のデメリットはやはり、実際の商品を手にとって検討できないことです。そのため、消費者が実物を把握できるのは手元に届いたときになります。これを利用すれば悪い事業者が消費者を騙すことも可能なのです。 ECサイトが一般化しつつあるため、こういったトラブルが多くなることを危惧し、消費者をより強く守ろうという動きがあったと推測されます。 ・改正前と改正後の具体的な違いは 【特商法の改正前】 「期間があやふやだった」 改正前では、商品を購入可能な期間の表記が明確に義務づけされていませんでした。「期間限定」の期間がいつまでのことなのか、ハッキリせずに販売できていました。 これって消費者からすれば「今すぐ買わないといけない」という不安を煽られることになり、不本意な買い物をしてしまいかねません。 ちなみに心理学では「スノッブ効果」といいます。人間は希少性に価値を見出されやすいのです。 「最終確認画面の表示に義務がない」 ECサイトにおいて、取引を確定する最後の画面を「最終確認画面」といいます。この画面では消費者が購入する商品や価格などについて、確定前に改めて確認するための画面です。 ですが改正前では、この確認画面にどの項目を表示させるのか明確に決まりがありませんでした。 これを利用して、本当は定期購入の商品をあたかも1回限りの購入に見せかけて月額料を請求するという詐欺が多数発生していました。 【特商法の改正後】 「広告表示の新しい義務」 改正後の広告表示義務に「申込期間についての定め」が追加されています(法第11条第4項)。これにより「商品がいつまで買えて、いつから買えなくなるのか」を明確にすることが義務付けられました。 注意点として、期間限定販売はこの法の対象になりますが、セールなどの期間限定割引には適応されません。 「最終確認画面への記載義務の新設」 改正後の特商法では、購入確定前の確認画面に以下の6つの項目を記載するように改められました。 1.分量 商品の数量、サービスの提供回数。そして定期購入の場合は各回の分量。 2.価格・対価・送料 複数の商品を購入する場合の支払い総額。定期購入の場合は2回目以降の代金、送料について 3.支払時期・支払方法 定期購入の場合は各回の請求時期 […]
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2019-12-01 EC制作
カスタマーオリエンテッド
いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。 nuloでのIT事業と並行して、スポーツマーケティングの事業も運営していることもあり、スポーツで活用されているIT技術に関しても、Jリーグなどのプロスポーツクラブや地域に根差したクラブ組織からご相談を受けることが近年増えております。 ファンやサポーターなど一定母数の会員組織を抱える企業や組織は、何とか顧客との距離を縮め、事業全体から生み出す“顧客価値”を高めたいと、様々なサービスや売上創出機会を求めています。 実は当社の姉妹会社においても、クラブチームが独自運営できる“チームアプリ”や“投げ銭アプリ”など、10年前から様々な試行を繰り返してきました。2019年も、近年のスポーツ産業の盛り上がりに乗じて、ブロックチェーン技術を活用した“投げ銭アプリ”やオリンピックで活躍が期待できるアスリートを応援できる“アスリート支援アプリ”など、スポーツとは縁のない複数のIT系企業から新しいサービスがリリースされました。 *アプリのイメージ(実物ではございません) しかしながら、スポーツのファンに向けたアプリやサービスにおいて、現在まで確固たるユーザーベースを確保してサービス事業として成功した事例がないのが実態です。 2020年の東京オリンピックを控え、スポーツを絡めたIT系のサービスが企画/開発され提供されることが増えてきましたが、その何れもが、“Customer Oriented(顧客本位)“ではなく、”Supplier Oriented”になっていることに違和感を感じてなりません。 “ブロックチェーン”や“IoT”、“投げ銭”などのホットな”ワード”はあくまで技術屋やメディアなどの媒体、あるいはベンチャーキャピタルなど投資に関わる面々がその時代の時流に則った“キーワード”として使っているだけであって、実際の利用者に感じれる“実態のある目に見える利点”がないと、なかなか浸透していかないのが現実です。 ☆「スポーツがなんだか盛り上がっている」 ➔「ファンも沢山いる」 ➔「IT技術で何かしらサービス提供したら沢山使ってくれるはず」 というのは非常に危ない”Supplier Oriented”なロジックで、早晩“サービス停止”に追い込まれる最も典型的な事例だと思います。 似たような事例でのサービス展開の失敗例が、(音楽)レコード会社が独自に展開する音楽配信サービスやテレビ局各社が個別に提供していた映像配信サービスです。 私がソニーに在籍していた当時も、アメリカや日本でちょうど音楽配信事業が立ち上がりつつある時で、各社各様にサービス展開をし始めていました。ただ、音楽業界は自社コンテンツを違法コピーから守るための著作権管理の仕組みや自社で提供している楽曲を配信したいがために、サービス自体が過剰に縦割りな仕組みとなってしまったのが実態で、利用者に全く相手にされないようなサービスも多々提供されていました。 “Supplier Oriented”で考えると、「自社コンテンツを売りたい」「コンテンツをしっかり(違法コピーから)守りたい」というところにどうしても主眼が置かれがちですが、”Customer Oriented”の視点で考えると、 「安く幅広く簡単に音楽が聴きたい」 の一言に尽き、「どのレコード会社なのか?」「DRM(著作権管理システム)が何なのか?」ということは重要でない要素ということが言えます。 自社内で企画をしていくと、どうしても自社に優位なサービスでビジネスモデルやサービスの仕様を構築しがちです。GAFAのように対象顧客に対して圧倒的な優位性を持って市場をリードできるパワーがあればいいのですが、通常の事業者の場合、実際にはその優位性を持っていないのが現状です(“持っている”と錯覚している事業者も多いのですが・・・汗)。 “Customer Oriented”の視点に立ち返るためには、愚直にエンドユーザーの目線に立って・・・ (1)現場に赴く~ (2)ユーザー(対象顧客)と同じ環境を想起してみる~ (3)本当に便利か、本当に必要か、本当にお金を払うか、再考する~ という当たり前の行動が必要となってきます。 特に「(1)現場に赴く~」というのはとても重要で、農業や工場の現場で使うIoTのサービスや先に記したスポーツ関係のアプリなど、現場の利用者や使う人の行動パターンや作業のルーチンをきちんと理解する必要があります。しかしながら、現場を軽視して企画してしまいサービス提供している事業者も多いのが実態で、「あ~現場知らないなぁ…」と思ってしまう案件も実は多々あります。 動画配信のサービスが始まりつつあるとき、ファイルの圧縮技術やインターネットの帯域が今ほど進化していなかったので、 「映画一本ダウンロードするのに2時間も3時間もかかる」 なんてことが当たり前でした。この状態では利用者は増えないのは当たり前ですが、”Supplier Oriented”の呪縛から逃れられてないと、意外と身勝手に夢物語を描いていることもあります(これは自分の過去の自己反省も含めてですが)。 「(2)ユーザー(対象顧客)と同じ環境…」というのはとても大事なことで、(3)の点も含めて、 「自分がお客さんだったら本当に使うかな?」 といった当たり前の疑問に立ち返ることはとても重要です。 もちろん、市場やサービスを取り巻く環境(ハード面/ソフト面/インフラ面など)は刻々と変化するので、“今はダメでも3年後には”という視点で考えることは出来るのですが、その“市場での受け入れ状態が整っているのか?”という点を考慮しながら、広告予算やマーケティング活動を市場環境の実態の需要に即して、仕掛けていくことがMUSTとなってきます。 皆様の会社においても、「”Supplier Oriented”のサービスや企画がないか?」疑いの目を持って、今一度“顧客本位”すなわち”Customer Oriented”の視点で再チェックしてみてはいかがでしょうか?
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2019-10-01 EC制作
小売業とオンライン
いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。 先日「百貨店空白県」がとうとう出来てしまうことがニュースで取り上げられていました。日本で一番最初の「百貨店空白県」となるのは徳島県。 1990年代には10兆円弱(9.7兆円/年)あった百貨店全体の売上総額は、直近の2018年で6兆円弱(5.9兆円/年)にまで落ち込み、今後更に下降傾向に拍車がかかっていく方向のようです。 昭和の時代は「食料品など日用品はスーパー、高級品など週末のお買い物は百貨店」というのが定番でしたが、①2000年以降ネット販売の台頭と②郊外型ショッピングモールの普及により、百貨店の役目も大きく変容を求められてきています。 特に①のネット販売に関しては、 (1)リアル(オフライン)店舗やショールームで商品を体験して~ (2)オンラインで商品を買う~ という棲み分けが今後出てきそうな流れが消費者の購買パターンの大きなトレンドです。 近年注目されている、アメリカのスタートアップ企業“b8ta”という会社をご存知でしょうか? シリコンバレーで生まれた、実店舗を“体験”に特化した形で、製造するメーカー企業と消費者を結ぶ目的で、大都市の路面やメイシーズ(アメリカの百貨店のリーダー的存在)に店舗を展開しています。 この”b8ta”は提携メーカーとそれぞれ契約し、各リアル店舗でIoT製品を中心とした品揃えをし、実店舗内で展示しています。その中で、店舗で販売することを目的としているのではなく、店舗に来店した顧客が、対象となる商品に対して、どういった行動を行っていったのか、契約するメーカーがGoogle Analyticsのように専用のシステムを介して検証できる仕組みを提供しています。ですので、店舗に来店した顧客がその後オンラインで販売しても、契約するメーカー側がマージンを払ったりすることはありません。来店客の行動履歴に関しては、「店頭の説明書きをどの程度読んだのか?」「商品紹介用の映像を見てくれたのか?」など、対象顧客の反応を細かく分析できるようになっています。 “b8ta”はグーグルとも提携しており、最近では玩具小売大手のトイザらスと提携して「未来の体験型玩具売場」の試験店舗を展開したり、動画ショッピングサイトの”Discover”とライブコマース機能を活用した販売支援をすることを発表したりしています。 *サンタモニカにある“b8ta”の店舗(”b8ta”のHPより転載) このような流れはまだ日本では産まれてきていませんが、”Amazon Go”のようにオンライン事業を生業としているプレイヤーも、小売りやリアル店舗に新しい仕掛けを試行錯誤している昨今、都市部だけでなく、地方でもオンラインとオフライン(リアル)の境界線が明確で無くなってくるのかもしれません。 100年以上も前から広告業界で提唱されてきた「AIDMA(アイドマ)」という消費者の購買プロセスを分解して検証するモデルも、近年はそのモデルやプロセス自体が変容しています。商品自体を知る(A=Attention)のはオンラインで、 欲しいと思う(D=Desire)は実際にお店で商品を触って、商品詳細を調べて頭の中に記憶として残る(M=Memory)のはオンライン~という風に、ネットとリアルの世界を行き来する消費者が増えていると思われます。 特に、最終的に顧客が購買行動を起こす最後の”A(Action)”については、徐々にオンラインに吸い込まれていく可能性が大きいのでは、と思います。 “クリックアンドモルタル”や“オムニチャネル”という言葉が業界でもよく使われ一時期流行言葉のようになりましたが、今後はその世界が当たり前となり、オンラインからオフライン(リアル)への顧客の導線、あるいは、オフライン(リアル)からオンラインへという流れが、商品特性やサービス特性に従い、より複雑に絡みあうようになると思われます。 マーケティング活動で投下する広告の効果測定も、オンライン単体でなく、オフラインと連動した形で検証する必要が出てくるでしょうし、顧客のショッピング体験も、顧客がオンラインとオフラインの両方のチャネルを行き来することを前提に設計していくことが今後は求められてきます。 日本の小売市場全体に占めるネット販売の総消費額の比率(EC化率)は6.22%(下図/2018年時点)ですが、アメリカは10%、中国は20%と、日本より一歩先に進んでおり、日本の市場においても、今後、今の2倍~3倍はネット販売すなわちオンラインを通じた購買が進んでいくと思われます。 *経済産業省「電子商取引に関する市場調査」より抜粋 百貨店の話に戻り・・・日本の都道府県で「百貨店が一店舗のみ」となったのは熊本県や鹿児島県の比較的規模の大きい場所も含め、全部で15県になったそうです。 百貨店業界もこのまま衰退の道を進んでいくわけではなく、新しいチャレンジをしながら、ネット事業との融合やオフライン(リアル)でしか出来ない経験や体験を活かしながら、その販売チャネルとしての“強み”を再認識~強化して、市場の中での新しい存在感を生み出していくとは思いますが、その流れの中で、オンライン(ネット事業)との親和性をますます追及していくものと思われます。 今後EC化率が更に進んだ時代を想定して、皆様の会社においても、それぞれの販売チャネルを見直してみて、顧客が商品を認知してから購買に繋がる経路を分析し直し、「オフラインで商品を触って、オンラインで買う」など次の時代に適合する新しい購買パターンの視点で再構築してみてはいかがでしょうか?
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2019-04-01 EC制作
EC事業の勘違い
いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。 1990年代からインターネットビジネスに関わり、大企業に属していた時から現在まで数々のEC事業の立ち上げを行って参りました。 もう間もなく2020年を迎えようとしていますが、未だにEC事業を勘違いされている実務担当者や経営者がいる状況に少し残念に思うことがあります。 取り扱っている商品やサービスにより、その捉え方は多種多様だと思いますが、一般的なタンジブル(目に見える)な商品の場合、EC事業(オンライン販売)は常に「固定費も少なく何もしなくても売上が勝手に上がるもの」と誤解されがちです。 実はそんなことはありません。 (このコラムを読んでいただいている皆様はご存知でご経験済みだと思いますが・・・汗) ECサイトを立ち上げたり、プラットフォーム上で店舗を開店したりするのは、基本設計をきっちりして、開発サイドがある程度その経験あれば、さほど難しいことではありません。 どちらかというと、そのECサイトや販売サイトを運営する会社や組織自体をこれまでの会社の体制と異なり変えていくことの方が時間を要し、費用対効果を出すまでに時間を要します。 EC事業を新規で立ち上げた場合、一般的には・・・ (1)サイトの企画/運営 (2)受注/顧客対応 (3)在庫管理/出荷 これらの業務を運営できる既存人的リソースの増強および追加が必要となってきます。 経営者や運営責任者にはこれらを増強および追加投入する準備と覚悟が必要となります。「既存リソースで何とかしてよ」「既存業務を効率化して、ECの仕事も担当してよ」と口で言いっ放しになって、現場に任せっきりになる体制だと、売上もあがりませんし、逆に機会ロスの方が大きくなります。 “(1)サイトの企画/運営”には、(a)商品撮影や(b)価格/商品スペックなど商品データの作成などがまず必要となり、実際にシステム上に(c)商品をアップロードし、その商品をページ上できちんと“売れる形”にするべく、(d)販促用ページやLP(ランディングページ)の作成、あるいは(e)メルマガなどで既存顧客にリーチし、売上に繋がる準備をする必要があります。 商品撮影なども業務としては侮れません。これまで商品パンフレットなどで商品を撮影する経験はあったと思いますが、ECサイト向けには、ほぼ全商品で複数以上のカット、あるいは商品の細かい部分を補足説明するための特別に手配した写真素材など、より多くのものが求められます。この写真/映像素材の品質がオンライン販売の売上を大きく左右することも多いです。 “(2)受注/顧客対応”には、(a)受注対応や(b)顧客対応から始まり、(c)アフター対応、実際に売り上げが発生した時点での(d)売上処理、などの業務が必要となってきます。これまでメーカーとしての機能だけを社内に持っていた会社は、B2B向けの業務は既に存在していると思いますが、B2C向けに新たに業務を組み立てる必要があります。他社との差別化やリピート販売の増加を図るために、「サンキューレター」やフォローアップの業務が求められてきます。 “(3)在庫管理/出荷”では、在庫場所からの(a)出荷処理、および、それに付随する(b)社内報告業務、などが求められてきます。一般的な会社の場合、物流や在庫管理を統括するシステムを保有/運営していると思いますが、そのシステムとECサイトを管理するシステムが自動で連動しているケースも多くないと思います。そういった場合、担当者は「こちらのシステムでこの処理をして、あちらのシステムでその処理をして・・・」など、管理を円滑にするべく、追加で対応する業務が増えることとなります。 これら上記の業務を決して蔑ろにせず、会社の今後の成長を支えるビジネスとして、商品企画やシステム開発など見えやすい業務だけでなく、バックエンドの目立たない業務を支える人的リソース面にもきちんと目を配る必要があります。 EC事業(オンライン販売)で売上を上げていくには、まずは実務の“基本動作”がそれぞれの業務内容の中で正しく行われているか、という部分にフォーカスを当てるべきで、「広告費を打てばいい」「カッコいいバナーを乗せればいい」といったものではなく、 「(一つ一つの)商品写真が綺麗に分かりやすく取れているか」 「その写真が正しくタイムリーにアップされているか」 「商品詳細の情報がきちんと細かく分かりやすく記載されているか」 「在庫切れの商品がいつまでも放置されてないか」 など、地味な実務のクオリティやコツコツ進める遂行能力が意外と重要な要素となっています。 正しいリソースの投下と事前の(EC事業の)事業計画を立て、しっかりとルーチンの業務が遂行できる体制作りが肝要です。地道にコツコツ出来る人員を配置し、毎日一定以上のクオリティで各業務を淡々と遂行できるようになることが、売上を継続的に上げていくための第一歩です。 皆様の会社においても、自社のEC事業において、“作りっ放し(放置状態)”または“立ち上げて満足感を得て終っている(実質的に未着手)”状況になってないか再点検し、今一度、最適なリソース配分が出来ているか、個々の業務がきちんと遂行できているかどうか、点検してみてはいかがでしょうか?
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2019-02-01 EC制作
ニューリテール
いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。 先日、中国の上海に出張に行く機会がありました。目的は現地法人で運営する中国大陸向けビジネスに関してでしたが、久しぶりに市場調査も兼ねて、中国の小売市場の状況を見てきました。 2016年まで6年ほど上海に住んでいたこともあり、上海万博(2008年)以降の中国小売市場の目覚ましい発展を目の前で見てきました。 (名目)GDPも日本をあっという間に追い抜き、現在は日本の3倍の規模になろうかという勢い、特に上海や深セン、北京など一線(一級)都市など大都会を抱える地域ではその変化は顕著で、商品の趣向も10年前と比べるとかなり変化があるのが実勢です。 nuloがサービスを提供する会社様の商品が中国大陸でもビジネスを展開していることもあり、現地の百貨店との商談やキャラクター商品のリアル店舗の視察も行ってきました。 1.リアルチャネルの弱体化 上海の大型商業施設および大手百貨店も年々その集客とテナント集めに苦労している様子で、「商品を仕入れて並べるだけ」あるいは「場所貸しして家賃収入得るだけ」の商業施設は成り立たなくなってきているのが現状となってきています。 中国市場全体は成長を続けているものの、百貨店業界の売上規模自体は、実は減少傾向が続くようになっており、上場している百貨店で売上減少した企業は54社中28社と半数以上の百貨店が前年割れの売上を記録しています(2018年実績ベース)。中でもその減少率が大きな問題となっていて、そのうち10社が前年対比20%減という厳しい状況に直面しています。 実際、上海の街を歩いていても、大勢の来店客で賑わっているのはごくわずかな商業施設の食品エリアや美容/化粧品フロアだけで、多くの百貨店の集客状況は日本の苦戦している地方百貨店と同じくらい、集客に苦しんでいる現状を見て取ることができます。 *閉店した中山公園の老舗百貨店“巴黎春天“ 2.キャッシュレスな生活 上海に出張する度に感じるのが、キャッシュレスが隅々まで浸透したライフスタイル。世界的にも最先端を行く中国のキャッシュレスの浸透度合いは色んな意味で可能性を感じます。 まず上海に到着して直面するのが交通カード(日本でいうとフェリカ[Suicaなど])。以前であれば、チャージする際に現金でチャージ(充値)する機械が各駅に配置されていたのですが、現在はスマホアプリで改札を通過する人が増えたこともあり、現在は機械で現金でのチャージが出来ない仕様になっていて、モバイル決済でチャージする形になっています。ですので、現金しか持ち合わせてない旅行者にはとても不便な環境となっています。勿論、現金でも切符を買うことも出来るのですが、生活に直結する交通システム全体のフローも、“キャッシュレス”の方向へ急速に進んでいることを改めて感じます。 今後はスーパーやコンビニ、公共施設なども含めて、現金の流通量が徐々に減少し、政府や経済界全体で“キャッシュレスな世ゆきへの後押しが進んでいき、それに付随した付加価値サービスやアプリなど新しい仕掛けが試行錯誤され、定着されていくものと思われます。 *上海公共交通カード(SONYのFelicaでなくPhillipsのMIFARE) 3.ニューリテイルの連続する試行錯誤 当社の関係会社の上海オフィスから地下鉄で二駅の場所にある「盒馬鮮生」に行ってきました。このスーパーはアリババグループが運営する生鮮スーパーで日本で言うと“ライフ”や“マルエツ”のような業態になります。 ただ、その業態は完全に既存スーパーとは異なります。専用アプリを持つ方々のみを対象とした会員制スーパーで、ここのスーパーでは全く現金を使うことはなく、決済は全てスマホ上のアプリを経由した支付宝(アリペイ)で行われます。 *上海中心部にある盒馬鮮生(フーマー)の入口 来店するお客様は買い物かごを持つのではなく、スマホを片手に、気に入った商品を「ピッ」とバーコードスキャンしてアプリ内のカートに商品を入れ、デリバリーしてほしい時間を指定して、スマホ上で決済する仕組みになっています。 *清潔感のあるスーパー内の生け簀 並行して店舗に入り驚いたのが各売り場の清潔感です。以前上海に住んでいた5~6年前のカルフールなどの庶民的なスーパーの売り場は、食品売り場や海産物売り場も清潔感がなく、外国人が買いにくい売場がほとんどだったのですが、このアリババが運営するスーパーの売り場は清潔感もあり、商品の陳列もしっかりしていて、オンラインやアプリの先進的なソリューションだけでなく、売り場全体のレベルが格段に上がっていることを感じました。 日本の市場全体の小売総額(百貨店や小売店舗などオフライン)に対するオンライン経由の販売(俗称:EC化率)はせいぜい8%に満たない程度ですが、中国市場のEC化率は20%を超え、その差は益々離れていく傾向です。 皆様の会社においても、中国市場への進出を考えておられる事業もあると思いますが、今一度、決済やオンラインでの事業展開に関しては『中国の方が先進国』という認識に立って、組み立てるマーケティングやセールスの戦略が正しいのかどうか、一度上海など現地での購買パターンを分析して、再考してみてもいいかもしれません。
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2018-08-01 EC制作
最適なECプラットフォーム
いつもありがとうございます、nulo(ニューロ)株式会社のハギ(Hagi)です。 日本市場の少子化、将来のマーケットサイズの縮小を受けて、多くの会社から海外市場向けのECサイトの構築を依頼されることが最近増えております。 当社の中ではすでに、越境ECという形でなく、現地市場の中に入り込み、カンボジア市場にて総合オンラインストア(英語/クメール語対応)や、台湾市場向けの化粧品商材や通販企業様向けのオンラインストア(中国語[繁体字])などを開発~運用させていただいております。 小生が所属していたソニーでも、2000年初頭(2001年頃~)東南アジアや東アジアで積極的にオンラインストアを立ち上げ、当初はたくさんの苦労があったものの、今では大きなビジネスとして、海外事業の大きな柱となっております。 海外市場向けのECサイトの構築を行う際に重要な事項は・・・ (1)現地市場に合ったデザイン・テイストで進めていくこと (2)現地市場に合ったマーケティング手法を取り入れていくこと (3)決済や物流などは基本的に現地主導・現地の商習慣に合わせること (4)モバイルファーストかPCファーストか適切に判断すること が求められてきます。 デザインやテイストは以前と比べると、グローバルで均質化の方向になりつつありますが、マーケティング手法などは、現地で普及するSNSプラットフォームがそれぞれの地域で異なったり、利用頻度に大きな差があったり、地域や国により様々です、 特に決済に関しては、日本市場のようにクレジットカードや代引き中心でなく、デビットカードやモバイル決済、コンビニ決済(含む荷物受取)など、日本とは異なる新しい決済インフラが普及している地域も多いです。 現地市場で普及する商習慣を、現地メンバーや現地を知るパートナーとしっかり見定め、最適な決済手段を丁寧に選んでいく必要があります。 また、東南アジアなどの新興国においては、日本のように物流先進国と比較すると、まだ信じられないようなオペレーションを行っている国もありますし、時間指定配送や冷凍/冷蔵配送が進んでいない地域がほとんどで、配送時の破損や盗難などのトラブルや問題が日常化している地域も、まだまだ沢山あります。 小生も2000年初頭に、ベトナムでのEC事業の立ち上げをサポートしていた経験があるのですが、 (1)オンラインでの決済手段が普及していない (2)物流網が整備されていない (3)そもそもオンラインでモノを買う習慣自体がない という状況で始めたため、2年も持たず、事業を閉鎖した苦い経験があります。 グローバルに展開してきた歴史があり、飛びぬけたブランド力がある大企業であっても、新興国や市場自体が成熟していないマーケットでは、多くの苦い経験があります。 今のベトナムの市場環境であれば、問題なくEC事業は立ち上がると思いますが、その地域での必要となる“インフラ”の普及状況を丁寧に見て、判断していく必要があります。 また地域によっては普及するデバイスが異なるので、そもそもパソコンや固定回線のインターネットの家庭への普及率自体が整わず、モバイル中心のネット利用になっている地域も多いです。 グローバルに展開する際は、その事業を支えるプラットフォームの選び方も考慮する必要があります。 日本の国内市場だけを見た場合、EC CubeなどのオープンソースやEC beingなどのCMSパッケージ、MakeShopやカラーミーショップなどのカートASPなどを利用することを、まず最初に検討すると思います。 一方、海外市場向けに考えた場合、①対応言語、②決済インフラ、③オペレーション人員、など、開発時だけでなく、実際に運営する際の具体的なイメージを持って慎重に最適なプラットフォームを選ぶことが求められます。 実際、当社でも、サイトに求める機能や対応内容に応じて、お客様と一緒に慎重にプラットフォームを選んでおります。 これまで開発/運用経験のあるツールとしては、国内市場向けには、EC Cubeでの開発/運用、あるいは、MakeShopでの運用をお手伝いさせていただておりますが、海外向けのECサイトに関しては、WooCommerceやOpenCart、その他グローバルで普及しているオープンソースでの開発/運用が中心となっております。 日本のプラットフォームに関しては、(1)言語対応、(2)各国通貨対応、(3)各国で普及している決済インフラの対応、(4)配送などロジスティックのプロセス、などの機能が、どうしても、国内市場向けに準備されたものであり、海外市場向けとなると、得意でない分野や範囲も多いです。 海外市場向けのECサイトの開発に関しては、開発会社に経験があれば何とか開発は出来ますが、実際に“海外市場向けのオンラインストアとして成功するか否か”はマーケティング力や現地市場での認知度に依存するケースがほとんどです。 実際、日本の国内市場でのブランド力や認知度が全く通用しないですし、よほどグローバルに、あるいは特定地域に、ブランド力や知名度がない限り、リモートの運営・オペレーションで、大きく成功するのは難しいのが実情です。 「ECサイトは立ち上げたけれども・・・」という企業で、“立ち上げただけで終わってしまっている”企業も多いのが現実です。 適切なプラットフォームを選ぶことは最低限必要ですが、 (A)海外市場に対応したECサイトの自社の組織・運営体制 (B)地域でドミナントなモールやショッピングサイトの並行活用 (C)現地市場での地道なマーケティング活動 (D)日本でのインバウンド或いは海外市場での認知度向上施策 など、開発・構築するだけでなく、地道マーケティング施策、もしくは継続的な改善施策など、『システム以外の対応』が必ず必要となります。 小生が海外市場で沢山の失敗をしてきたのと同じ轍を踏まず、皆様の会社での今後の海外対応のご参考にしていただければ~と思います。
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2018-03-28 EC制作
フィンランド発のレザーバッグブランド「LUMI」
いきなりですが、カバンを購入する際はどういうこだわりがありますか?ここで紹介したいのがフィンランド発のレザーバッグブランド「LUMI」・・・
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